7月10日、BeGood Cafe Tokyo Vol.79『2025年 未来の記憶』が東京代官山のボール・ルームで開かれた。
このBeGood Cafeは「素敵ないいことを始めよう」をテーマに「みんなと語るカフェ」であり、地球環境や現代社会に対して参加者が少しずつできることをする「ピースな輪」を広げるイベントであり、1999年から毎月1回、オシャレな空間でゲストの話を参加者が聞き、お互いの意見を交換するという日本におけるカフェ型サロンの草分である。
BeGood Cafeはすでに全国各地で行われているが、愛・地球博でもBeGood Cafeは食の循環とパーマカルチャーを実践するナチュラルフード・カフェとオーガニック・ガーデンを行っている。今回は愛・地球博の会場の電灯を消して行った100万人のキャンドルナイトの様子も報告された。
今回は、20年後2025年の社会や地球・自然環境の未来をテーマにピーター・バーグ氏やレーナ・リンダル氏を迎えて行われた。
まず、インド最北部のラダック地方での開発とその問題点を描いた映画『懐かしい未来』の上映から始まり、2025年の未来を参加者がともに考えて短冊に託す「言の葉さらさらプロジェクト」のワークショップなどが行われた。
この他にも、ムビラ・ジャカナカによるアフリカの楽器「ムビラ」の演奏やSUIKAによるポエトリー・リーディングとラップをはさみながら、持続可能な開発のための教育の10年推進会議による国連「持続可能な開発のための教育の10年(ESD)」の紹介や「貧困をなくそう」というメッセージを個人が示すホワイトバンドの「ほっとけない 世界のまずしさ 」キャンペーン実行委員会の告知、中山実生氏のインドのこどもたちの現状と展望を示したレポートと写真展「自由への翼~働く子どもたちに子ども時代を返そう」 も行われた。
ビーグッドTALKはピーター・バーグ氏にテレビ朝日アナウンサー丸川珠代氏が質問をする形で進められた。
ピーター・バーグ氏はプラネット・ドラム協会創始者であり“バイオリージョナリズム”(生命地域主義)の提唱者である。“バイオリージョナリズム”とは「バイオ=生命の、生態系の」と「リージョン=地域」を組み合わせた考え方である。
「この考え方では、各々の地域には、独特の気候・風土があり、固有の動植物がいる。人間が自然と調和し、地域で循環した生活を続けていくためには、それぞれの地域環境の違いから生まれる、その地域に合った、生態系、ライフスタイル、文化があってしかるべきで、そうした社会的な基本単位を見直そうとするもの。この考えでは、単なる自然保護や科学的な概念ではなく、人間の生活的な要素も重要とします」
※「バイオリージョンの思想について」
バーグ氏は地震で壊滅したエクアドルのバイーア市の地震被災復興計画を山に固有の木や植物を植えていくことからはじめた例や、アメリカの大都市で行っているグリーンシティプログラムについてを語り“バイオリージョナリズム”での地域再生のプロセスを説明した。
また、6月5日にサンフランシスコで行われた「都市環境協定」(UrbanEnvironmental Accords )に触れ、具体的な都市づくりの必要性を指摘した。
この「都市環境協定」は世界中の市長たちが環境に配慮した都市づくりのための21の施策をそれぞれの都市で実施する国際協定に調印したものだ。
・2015年までに、都市の住民のための安い公共輸送の手段を拡充する。
・2040年までに、埋め立てや焼却にまわされるごみの量が増えないようにする。
・7年以内に、都市のピーク電力量の1割を再生可能エネルギーでまかなうよう努力する。
バーグ氏はこれらを実現し、2025年には都市が消費地ではなく「緑や食料の生産地」になるようなを具体像を語った。
今回のBeGood Cafe Tokyo Vol.79『2025年 未来の記憶』でプレゼンテーションされたチュラルフード・カフェやホワイトバンド、持続可能な開発のための教育の10年(ESD)、100万人のキャンドルナイトなどの活動は、2025年に地域が、命が生かされる持続可能な社会になっているための重要な試みであり、提案ではないか。
初出 2005/7/13 インターネット新聞『JanJan』
コメント