18日、埼玉県飯能市の自由の森学園で「人・森・地域いきいきフォーラム」が開かれた。
このフォーラムは「飯能市小岩井・自由の森で考える」というサブタイトルでさいたまグリーン・エコツーリズム協議会と自由の森学園の共催により(後援 飯能市教育委員会)開かれ、広大な森林を抱える飯能市で森に関わる団体と特色ある教育を行っている自由の森学園とさいたまグリーン・エコツーリズム協議会が、参加者とともに持続可能な地域づくりを考えるものである。
オープニングでの挨拶に続き、セッション1「自然と子どもたち-環境教育の現場から」が行われた。コーディネーターの自由の森学園高校鬼沢校長より自由の森学園の紹介があり、同校の生徒による地球市民講座ドイツの環境教育の報告、自由の森学園の林業講座の報告、自由の森学園の菜の花プロジェクトの報告などがあった。
同校には自由選択講座という制度があり地球市民講座や林業講座はそのひつとであり、生徒は自由選択講座の林業講座として森林保全活動や鉱毒により死の山となった足尾での植林への参加などを行っている。
また、菜の花を生かして地域内での資源循環サイクルを行う「菜の花プロジェクト」を自由の森学園発地域連携で計画しており、生徒は同プロジェクト発祥の地の滋賀の菜の花プロジェクトネットワークや菜の花プロジェクトネットワーク埼玉を訪問するばかりでなく、実際に休耕中の畑を地元から借りる予定とのこと。
セッション2「木と森の活用」ではコーディネーターのさいたまグリーン・エコツーリズム協議会の山本正史氏により持続的な地域の環境保全・向上のためのコミュニティビジネスの位置づけについて語られ、林業家で「木楽里」の井上淳治氏より森林の現状と活用について、「素木(すき)の会」の吉野勲氏より木の活用と住まいづくりについて地元の現状を踏まえての講演があった。
井上氏により日本の林業や飯能一帯の地場産材である「西川材」の現状や森の持つ環境的機能が語られた。吉野氏により循環資材である地場産材を見直して伝統的大工技術・木組みによる百年住宅をつくることで森や環境の保全を行い、木の文化を再興と生活に立脚した住まいづくりについて述べられた。
セッション3「地域再生を考える」ではNPO木の家だいすきの会の鈴木進代表によるコメントと埼玉県全域での木の活用、森の再生とまちづくりに取り組みを語った。その後、さいたまグリーン・エコツーリズム協議会森良代表のファシリテートより参加者全員が5つのグループに分かれて「地域再生を考える」ワークショップも行われた。このワークショップでは高校生と大人が一緒に「地域再生を考える」提案をつくり発表した。
会場外では生徒と参加団体で展示が行われ、各セッションでも活発な質疑があり論議が深められ、参加者から高校生の活動に感心したなどの感想が寄せられた。クロージングセッションではさいたまグリーン・エコツーリズム協議会の藤木照治氏が自由の森学園と生徒の活動を大学でもなかなかない活動と評価し、NPOの役割と展望を述べ、これらに市民が連携していくことなどの提案した。
今回の「人・森・地域いきいきフォーラム - 飯能市小岩井・自由の森で考える」は10月1日埼玉住まい・まちづくり交流展2005「シンポジウム『森と都市の共生』流域連携を模索する」と連携しており、この論議はさらに深められる。
社会の持続可能な社会への転換や「持続可能な開発のための教育 ESD」が唱えられているが、今回の「人・森・地域いきいきフォーラム - 飯能市小岩井・自由の森で考える」のように大人と生徒が、地域と学校が協働で地元の課題を討議して持続可能な地域づくりを目指すことが重要ではないか。
初出 2005/9/21 インターネット新聞『JanJan』
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