2005年9月25日、東京都新宿区のJICA国際総合研修所で「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年アジアESDネットワークシンポジウム―それぞれの経験からみんなの経験へ」が(特活)持続可能な開発のための教育の10年推進会議(ESD―J)の主催で開かれた。
ヨハネスブルグサミットにおいて日本が提唱し実現した「国連持続可能な開発のための教育の10年」(ESDの10年)が今年からスタートし、日本でも「持続可能な開発のための教育の10年推進会議」(ESD-J)が主催するキックオフミーティングが、3月6日に東京都豊島区の立教大学で開かれた。
このネットワークシンポジウムではESDの10年を契機に持続可能な社会の実現へ向けて活動するアジア各国の市民や団体が内容を報告し、アジアおける持続可能な開発のための教育推進のためのネットワークづくりを行うものである。
まず、開会挨拶に続き、「アジアの持続可能な開発のための教育の状況」をフィリピン持続可能な開発協議会(フィリピンPCSD)共同議長エリザベス・ロハス氏、中国の自然之友(Friends of Nature)プロジェクトオフィサーリ・チエ氏、タイ環境研究所(TEI)環境教育・人材育成センター所長アンパイ・ハラクナラック氏、韓国持続可能な開発のための大統領委員会(韓国PCSD)リ・スンキュン氏、バングラデシュ農村開発アカデミー共同所長マスドゥール・チョウドリー氏、日本の持続可能な開発のための教育の10年推進会議副代表池田満之氏など各氏より報告された。
次に、「アジアESDネットワーク構築に向けて」では9月22日から行われた「持続可能な開発のための教育―環境教育と開発教育を超えるもの」(主催・立教大学東アジア地域環境問題研究所)での報告や内容を元に討議がなされた。この「持続可能な開発のための教育-環境教育と開発教育を超えるもの」ではアジア各国の発表と戦略会議として持続可能な開発のための教育(ESD)推進のための課題と今後のアジアの持続可能な開発のための教育(ESD)の推進の方針」が検討された。
また、この場でその戦略会議の結果としてアジア太平洋地域での持続可能な開発のための教育(ESD)を推進するためのネットワーク仮称「ESD―AP」の設立、会議出席メンバーによる準備委員会(アドホックワーキンググループ)の結成と1年後をめどに仮称「ESD―AP」全体会の開催が公表された。
アジア各国の取り組みの中では、韓国のように大統領委員会で検討されている国もあるにもかかわらず、日本政府が提案した「国連持続可能な開発のための教育の10年」への日本政府の対応が進まないのは問題ではないか。この点については海外からの参加者から疑問の声も一部聞かれた。
「ESDの10年」スタートに合わせて、本年1月18日から3日間、インドアーメダバード市「持続可能な未来のための教育(Education for Sustainable Future: ESF)」国際会議が開催され、参加団体と国連開発計画(UNDP)などで国際的に「ESDの10年」を進める「アーメダバード宣言」も行われている。
「国連持続可能な開発のための教育の10年」の取り組みは各国がそれぞれの実情に合わせて取り組むのは当然だが、日本政府が国連に提案したものであるから政府は本腰を入れて取り組むべきではないか。
初出 2005/9/27 インターネット新聞『JanJan』
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